Molding -制作物-
刀剣 太鼓鐘貞宗 写真集
2021年1月発行
短刀・太鼓鐘貞宗をモデルとした造形物です。
短刀と侮るなかれ、今までの集大成どころか、新しいものの連続でした。
刀身は形になったものの、大倶利伽羅で体験した彫刻や、光忠の樋の経験をあっさり覆す浮彫りに、最後まで悩まされました。シンプルだからこそ、精度が見た目のクオリティに直結し、内側へ続く滑らかさと残された彫り物の両立が難しかったです。
また、燭台切光忠で培った技術を応用し、隠れて見えない茎の塗装再現を行いました。鑢掛けは平造りだからこそ成功できたのだと思います。
拵もデザインがシンプルなだけに、どう表現すれば自然かと悩みました。
ゲーム上の設定画を見るからに黒漆なのだろうけれども、柄についている白い模様は何か。蒔絵や象嵌を視野に入れた上で、設定画で白と塗られている事をハイライトと捉え、反射率の高いピカピカ光る螺鈿ならば、時代背景的にも問題はないと、制作を開始。こんな小さな意匠なのに死ぬほど大変だったので、伝統工芸師の方への尊敬の念でいっぱいです。
伊達シリーズ最後の刀にして、堂々たる完結作です。
Photographer:ロキ
Model:祈雨
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